さて,外貨投資シリーズも今回で3回目ですが,今回は具体的な外貨の説明をしたいと思います。
皆さんが外貨投資をするに際して,参考にしていただければ幸いです。
なお,外貨は外国の数ほどあるはずですが,外貨投資の対象となり得るのは,そう多くはありません。
なお,カブドットコム証券の外貨MMFでは,以下の6種類の通貨が対象とされています。
米国ドル
カナダドル
オーストラリアドル
ニュージーランドドル
トルコリラ
南アフリカランド
なぜか,ユーロと英国ポンドが入っていません。
この中で,最近よくおすすめされているのが,利率が高い南アフリカランドと,トルコリラです。
よく証券会社の営業マンとかが,
「銀行貯金しても利率は0.01%とかですが,外貨であれば,年4~5%もありますよ!!」
とか言って,みなさんに途上国の通貨を売りつけようとしてきますよね?
さて,利率の高い通貨に投資するのが,本当にお得なのでしょうか?
今日はこの点を考えてみましょう。
1 前提
投資の話に入る前に,世界でどの通貨がどのくらい流行っているのかを考えるため,世界の外貨準備を構成する通貨の比率を見てみましょう。
IMFの発表によると,2014年の外貨準備構成比率は,以下のとおりです。
1位 米国ドル 63.7%
2位 ユーロ 21.0%
3位 英国ポンド 4.1%
4位 日本円 3.4%
5位 オーストラリアドル 2.1%
6位 カナダドル 2.0%
7位 中国元 1.1%
その他の通貨 2.5%
このランキングを見てもらえばわかりますが,トルコリラや南アフリカランドは入っていません。
外貨準備に使われていない通貨ということは,マイナーな通貨ということです。
はっきり言って,リスク管理の観点からして,この7通貨(日本円を除くと6通貨)以外への投資はあまりおすすめできません。
2 利率が高い通貨ってお得?
証券会社の営業マンに言われるまでもなく,
利率がほぼゼロの日本円で運用するより,11%超えのトルコリラ(執筆時2018年5月時点)で運用する方が,お得な気がしませんか??
そんな気がしちゃう方は,要注意です。
相手の立場にたって,物事を考えてください。
もし,本当に日本円で運用するより,トルコリラで運用するほうが,実質的にも年10%以上お得なのであれば,トルコリラを持っている人が,日本円と交換してくれるでしょうか?
トルコリラを交換してくれる人(おそらくトルコ人)は,利息の計算もできないほどバカだということでしょうか??
そうではないですよね?
一般の方は知らない方が多いのですが,
「高利率の通貨は,通貨安になる」
というのが,金融の世界の常識なのです。
どういうことかというと,
たとえば,1トルコリラ=10円で,日本円が利率0%,トルコリラが年10%,だとすると,
1年後には,
100円を元手に,トルコリラを買った日本人は,11トルコリラを持つことになります。
一方で,日本円を買ったトルコ人は,利率が0%なので,1年後も100円しか持っていません。
そうすると,トルコリラを買った日本人はぼろ儲けですが,トルコ人は損したことになるのでしょうか??
そうではありません。
この場合,1年後の為替レートは,
100円 = 11トルコリラ
となるのです。
それを見越して,トルコ人は利息の付かない日本円を購入してくれるのです。
こんな当たり前のこと,相手の立場に立って考えることができず,
「利率が高い通貨は人気があるから,通貨高になる」
と勘違いしているひとがなんと多いことか,,,,
嘘だと思う方は,どうぞご自身で,この20年間とかの為替の推移を確かめてみてください。
利率の高いトルコリラや南アフリカランドは,日本円に対して,ずっと円高の方向へシフトし続けています。
もちろん,短期的には円安になったりもしますが,長期投資の観点からは,利率の高い通貨へ投資しても,全く無意味です。
むしろ,為替手数料の分,損することが多いのです。
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