2018年5月23日水曜日

コラム FP資格7 FPは何でも知ってるの?

前回のReview 「コラム FP資格6 FP資格で夢の独立?



「FPに相談しよう」と思っている方は,どのFPに聞いていいのか,で悩んでいるかもしれません。

FPであれば,どのFPでも,どの分野についても知っているのでしょうか?


FPには,分野というのはどのようなものがあるのでしょうか?


そんなわけで,今回は,FPにも色々なタイプについて,説明します。


FPの試験科目は,以下の6分野に分かれております。



1 金融資産

2 不動産

3 ライフプランニング

4 リスクと保険

5 タックスプランニング

6 相続・事業承継



FP技能士,CFPの試験では,全ての科目が出題されるので,資格を持っているFPは一応,一通り6分野について勉強はしてあります。


この点は,選択科目が多く,人によって勉強した科目がバラバラの税理士試験とは異なります。


なので,資格を持っているFPであれば,6分野について最低限度の知識はあります。



ただ,どんなFPに対して,どんな分野のアドバイスでも求めていい,というわけではありません。


FPは,FP資格だけでは食べていけないのが通常であることは前回説明しましたが,大抵のFPには専門分野(というか本職との表現が近い)があります。



たとえば,FPに多い業種の方として,生命保険会社や証券会社の営業職員がいます。


生命保険会社のFPであれば,当然「リスクと保険」の分野に詳しいですし,

一方で証券会社の営業職員と違って,「金融資産」の分野には詳しくありません


不動産会社に属するFPであれば,当然「不動産」の分野に詳しいですが,不動産に関係のない「相続と事業承継」の分野には詳しくないです。


いかに試験問題を勉強していても,実務に精通しているか否かは別問題です。


実務経験がないと,実務の運用をよく知らないので,適格なアドバイスができません。


たとえば,生命保険会社の商品にどのようなものがあるのかわからないと,必要な補償額と保険料の関係など,具体的なアドバイスができないのです。


FPも医者や税理士と一緒で,専門分野があります。


FPへ相談したい方は,専門分野を確認して,自分が相談したい分野に詳しいFPに相談しましょう!!


FPになりたい方は,今やっている仕事がどの分野に近いか判断して,その専門分野を磨いていきましょう。




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2018年5月13日日曜日

第8章 相続6 遺留分

前回のReview 「第8章 相続5 相続不動産の評価方法


さて,今回は「遺留分」についてです。


以前の回で,「必ず遺言を残しましょう」とお教えしましたが,


遺言を適当に書くだけで完全に「争続」を防げるわけではありません。





世の中には,(というか民法には),遺留分というものがあります。


遺留分とは,相続人が最低限度得られる相続財産への権利,


遺言によっても侵害することができない権利,


です。


すなわち,「全財産を愛人のA子へあげる」との遺言を残されてしまうと,残された奥さんがとてもかわいそうなので,奥さんにも最低限の保証をあげる,ということです。


遺留分の権利者は,兄弟姉妹以外の法定相続人です。


つまり,兄弟姉妹には,遺言で「兄には1円もあげない」という遺言を書けば,遺産を残さないことが可能です。


一方で,「妻には1円もあげない」という遺言を書いても,奥さんが遺留分を権利行使すれば,奥さんには一定の財産が与えられることになります。



遺言を書く際には,必ず遺留分について考えて書きましょう。


「争続」を防ぐことが第一という,負けない投資工学の観点からすれば,


遺留分を権利行使されるような遺言を書かないのがベターです。


遺留分は相続財産に対する割合で決まります。


法定相続分の2分の1が遺留分になります


つまり,法定相続分が2分の1の配偶者の場合,遺留分は4分の1となります。


配偶者と2人の子どもが相続分の場合,それぞれの子どもは法定相続分が4分の1,つまり遺留分は8分の1になります。


ただ,遺留分は,遺留分権利者が,遺留分を行使しない限り,問題となりません。


つまり,あらかじめ他の相続人は相続財産がいらないと明言しているような場合であれば,遺留分を侵害するような遺言を書いてもかまわないわけです。


遺留分を侵害するような遺言は作らないのがベターですが,必ずしも侵害しないような遺言を書いていけないわけではありません。


FPや税理士,弁護士といった専門家と入念に打ち合わせて,よりよい遺言を作成しましょう。



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2018年5月7日月曜日

誌上FP相談 CASE3 独身貴族青山さんの相談

前回のReview 「誌上FP相談 CASE2 新婚四ツ谷夫婦の相談3


さて,今回の相談者は独身貴族さんです。


CASE3 独身貴族青山さんの場合


独身貴族の青山さん。

大手損害保険会社に20年お勤めで,42歳。

気がるな独身生活が楽しく,結婚の意思はないとのこと。

全国転勤なので,家は購入せず,賃貸暮らしをしてきた。

現在の年収は1100万円もある高級取りなのに,この20年でためた貯金はわずか400万円。


特に株式投資などはやっていない。


社会人3年目に,生保レディの営業を受けたのをきっかけに,生命保険(終身保険。保険料月2万円)。


一人なので,老後資金を用意しなきゃいけない,何か金融商品に投資しなくては,と意識しだして,不安になって相談にやってきました。






相談内容


1 貯金がなかなかできないがどうしたら良いか


2 一人暮らしがずっと続くことになるが,家は購入した方が良いか


3 老後資金をためるために,何の投資を始めればいいいのか


順番に相談に回答していきましょう。


1 貯金がなかなかできないがどうしたら良いか 

年収が1000万を超え,一人暮らしにも関わらず,貯金が400万しかないのは,明らかに貯金不足です。


新社会人三田くんの相談でも言いましたが,天引き貯金をしましょう。


青山さんの収入(手取りが月約50万円)からしたら,毎月10万円は天引き貯金できるはずです。


すぐに銀行に行って,毎月給与口座から自動的に10万円定期預金に振り替える設定を行いましょう


2 一人暮らしがずっと続くことになるが,家は購入した方が良いか


全国転勤の多かった青山さんでしたが,

さすがに就職から20年以上たってきたので,転居を伴う異動は今後はなさそうとのことです。


テレビで独居老人の特集を見て,「大家がは老人に家を貸したがらない」ということを知って,不安に思ったこともあり,ワンルームマンションを購入しようか迷っているとのことです。




結論から言いますが,現状でマンションを購入することはおすすめできません。


まず頭金用の資金が不足していますし,なけなしの400万円を使ってしまうと,もしもの出費に耐えられず,家計に余裕がなくなってしまいます。


老後に家を借りられなくなる不安はわかりますが,少なくとも5年間でたくさん貯金して頭金を用意できてから,マンション購入は検討しましょう。


なお,今現在でも首都圏では空きアパートが多くなってきていますし,今後もその流れが続くでしょうから,将来は大家さんも「独居老人に家を貸したくない」なんて言えなくなってくると思います



3 老後資金をためるために,何の投資を始めればいいいのか


まず,生命保険は,せっかくこれまで積み立ててきたので,解約せずに,保険料を支払いつづけましょう。

私は,独身者であれば月5000円以上の生命保険は不要だといつもアドバイスしてますが,年収の多い青山さんであれば,支払い余力があるので生命保険に入ったままでも,問題ありません

また,今解約すると,払いこんだ保険料の6割程度の返戻金しかもらえないので,損してしまいますので。


高年収の青山さんであれば,厚生年金も将来月18万円程度もらえそうですし,退職金も2000万円程度もらえそうとのこと。


つまり,質素な暮らしができるのなら,過度に老後資金を気にする必要はありません。


ただ,青山さんはこれまで年平均20万円程度しか貯金できていないことを考えると,豪華な暮らしをしていると言え,現役のときと同じ感覚で老後も生活すると,すぐに預金が底をついてしまいます。


天引き貯金のためにも,老後の生活の安定のためにも,毎月の出費を抑えましょう。

老後の心配をして投資を始めるのは,それからでも遅くありません。


Next 「誌上FP相談 CASE4 保険貧乏市ヶ谷さんの相談


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