2017年2月26日日曜日

第8章 相続3 相続税入門その4 小規模宅地等の特例

前回のReview 「第8章 相続3 相続税入門その3 配偶者控除等

さて,今回も引き続き,相続税の特例についてです。



被相続人が住んでいた住居や,賃貸用に持っていた不動産に足して,高い相続税を課してしまうと,

相続人が住んだり,その賃貸用不動産事業を引き継ぐことが不可能になってしまいます。

そこで,一定の要件を満たした宅地に関しては,相続税上の評価額を一定程度減額して,

相続税額を少なくして,相続人が困らないようにしています。


「相続対策に不動産を」というキャッチコピーを聞いたことがあるでしょうか?


そのキャッチコピーの原因ともなっているのが,この小規模宅地等の特例なのです。


つまり

① 被相続にの所有する,事業用建物(賃貸物件)もしくは居住用建物の宅地であって,


② 建物の敷地であって(つまり駐車場用の土地とかではない)


③ 相続税の申告期限までに遺産分割が終了している


という条件を満たせば,


その土地の相続税上の評価額を,通常より,50%~80%差し引くことが可能となります。


つまり,相続税評価額が3000万円の居住用建物の宅地であれば,


その80%を評価額から差し引いて,


相続税上,その宅地の評価額を,600万円ということにしてしまえるのです。



ただでさえ,不動産は時価よりも低く評価されているのに,


そっからさらに評価額を低くすることができるのです。



金持ちが不動産を所有したがる傾向があることに,納得いただけましたでしょうか?



もちろん,小規模宅地等の特例を使うには,他にもいろいろ条件があります。


居住要件や所有要件といった,被相続人が所有や居住していたかなどが問われる場合もあります。


また,事業用の不動産では,事業に供しているかなどの条件があります。



この特例の適用を考えている方は,注意深く調べておきましょう。



とりあえず,このように大きな節税効果が認められる制度が存在することを,


皆さん認識しておきましょう。



バカ正直に,相続税評価額を申告することは,損することがありえます


ご注意ください。




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2017年2月18日土曜日

第8章 相続3 相続税入門その3 配偶者控除等

前回のReview 「第8章 相続3 相続税入門その2 節税対策


さて,今回も引き続き,相続税対策についての講義です。

前回書きましたように,お金持ち以外の場合,基礎控除(3000万+法定相続人×600万)と,生命保険控除(法定相続人×500万)を使えば,ほとんど相続税を払わないで済むと思います。

今回は,それでも相続税がかかってしまう方への朗報です。



1 配偶者控除

配偶者が取得した財産が,1億6000万円以下,もしくは法定相続分相当額以下である場合には,配偶者には,相続税がかからないことになります。

理由は,配偶者の生活費のためとかなんとか言われていますが,

要は,子どもが相続する場合と異なって,配偶者であればそう遠くないうちに子どもが相続することになるので,その時に相続税を課せばいいっていう,国税庁の思いやりというか狙いです。

したがって,相続税がかかってしまいそうなケースの場合,

配偶者が相続人にいるのであれば,生命保険各人500万円以外の金額を配偶者に相続させるという手段が,よく用いられています。

特に,生前に何の相続対策もしていなかったケースの場合,

数少ない死後にとれる相続税対策として,かなり効果があるのが,この配偶者控除です。


そして,相続をした配偶者が生きている間に,

次の相続に備えて,相続税対策を生前からやっていくのが,良い手段とされています。

つまり,国税庁がくれた相続税の猶予期間みたいなもの,それが配偶者控除です。


アディショナルタイム(配偶者が相続してから死亡するまでの時間)になってからでも遅くはないので,相続税対策をとるべきです。

アディショナルタイムを制する者が,相続を制する,ということです。


2 未成年控除

相続で財産を取得した相続人が未成年の場合,

(20歳 ー 相続開始時年齢) × 10万円

が,相続税額から控除されます。


たとえば,15歳の娘が相続した場合,普通に計算すると支払うべき相続税額が60万円であった場合,

納める相続税は10万円でよくなるということです。

やはり,未成年者はこれからいっぱいお金が必要なので,定められた措置なのです。


3 障碍者控除

同様に,障碍者が相続人となる場合,

(85歳 - 相続開始時年齢) × 10万円

が,支払うべき相続税の額から,控除されます。


未成年者は20歳以降働くので金が入ってくるが,障碍者は生涯(85歳と計算されています)お金が入ってこないから,未成年者よりも手厚く保護されているのかもしれません。



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2017年2月11日土曜日

第8章 相続3 相続税入門その2 節税対策

前回のReview 「第8章 相続3 相続税入門


さて,相続税というものがいかなるものかをわかってもらった後ですが,

相続税の節税について,考えていきたいと思います。

もちろん,私個人としては,「死ぬときくらい世のため人のため」と思って,

相続財産の一部を日本国に残して欲しいなーって思います。

でも,もらう方から考えたら,払わなくていい相続税は,払いたくないですよね?

今日以降,相続税を節税する方法について,考えていきたいと思います。


まずは,相続対策といえば,これです。

1  生命保険

生命保険についは,所得税の節税になることは,すでに説明ずみであります。(第2章 節税5 生命保険参照)

もっとも,生命保険は,相続税対策においても,節税となるのです。

生命保険金は,そもそも,保険料の対価であって,民法の相続規定の影響を受けることなく受取人が決まるシステムなので,相続税の対象にならないかとも思いますが,

みなし相続財産として相続税の対象となるのです。

これは,相続財産として,預金5000万円をそのまま残した場合と,

その5000万円を掛け金にして生命保険をかけておいた場合で,相続税が異なることを防ぐ趣旨です。

こう考えると,生命保険をかけても,相続税が減らないと思うかもしれません。

しかし,生命保険は,生命保険会社のロビーイングの成果か(笑),相続税の非課税枠が設けられています

生命保険の非課税枠は, 法定相続人 × 500万円 です

つまり,法定相続人が,妻と子ども2人なら,

1500万円までは,生命保険金に,相続税がかからないのです。

また,生命保険は,受取人の口座に直接振り込まれるので,預貯金と異なり,相続人がなくなった後も,スムーズに資金の活用ができるのです。
(預金の名義人が亡くなると,銀行は簡単にはその預金を引き出させてくれません)

なので,相続税対策ということもあり,65歳を過ぎた方は,節税のみならず,スムーズな相続という観点からも,

法定相続人×500万円以下の金額の生命保険には,入っておくべきかと思います。

とりあえず,生命保険の節税と,もともとある非課税枠を使えば,この国に住んでいるほとんどの方は,相続税を収める必要にはかられないかと思います。




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2017年2月5日日曜日

第8章 相続3 相続税入門

前回のReview 「第8章 相続2 相続人って誰??


さて,今回は,相続とは切っても切れない関係にある,相続税についてです。

相続税とは,相続人が,被相続人から財産を相続した場合に,かかる税金です。




ただ,みなさんの多くは,相続税について,身の回りに実際に支払ったことがある人をあまり知らないと思います。

なぜなら,相続税がかかるのは,残された財産が一定額以上の場合に限るからです。

相続税の基礎控除額(これを超える分だけ税金がかかるということです)が,

3000万円 + 法定相続人の数×600万円

となっています。

つまり,法律上の相続人が,妻と子ども2人であれば,

3000万円 + 1800万円 = 4800万円以下の相続財産しかない場合,相続税はかからないのです。

なお,平成27年の改正前は,5000万 + 法定相続人×1000万円でしたので,

ほとんど相続税を収める人がいなかった(全体の4%程度)だったのです。

しかし法改正により,基礎控除額が大幅に減少したことで,都内に一戸建てやマンションを有している少しお金持ちな人たちに,相続税がかかるようになってしまったのです。

なので,もはや誰もが相続税対策が必要な時代と言えます。

相続税は,税率が高く(最低10%),納めなければならなくなると負担も大きい(もちろんその分相続できているので,問題ないとも言えますが,,,)ので,しっかり知識をつけて対策を取りましょう。

みなさんが,投資について勉強して,良い利回りで投資して増やしたお金を,相続税で国にもっていかれるのは,あまりにもばからしいと思いませんか?

もちろん,死ぬときくらいは国家に貢献してもいいのかもしれませんが,納めなくていい税金は,納めたくないというのが,本音ではないでしょうか。

次回以降しっかり相続税の勉強をして,

元気に生きているうちから,しっかり相続税対策を始めましょう(または親に始めさせましょう)




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2017年2月4日土曜日

第8章 相続2 相続人って誰??

前回のreview 「第8章 相続1 相続税対策よりも争続対策を先にやろう

さて,今回から,相続に関する基礎的なことを伝授していきたいと思います。

これまで,何回か言ってきた気がしますが,

みなさん,かならず遺言は残しましょう。



遺言を残さないと,法律の定める割合によって相続が発生することになりますが,

このことは,相続ではなく,争続の原因となる可能性が高いです。

ただ,まあ今日は,遺言を残さないで,人が亡くなった場合について,説明したいと思います。

この記事を読んで,これじゃいけない,って思ってくれる方がいれば,幸いです。


とある人が亡くなった場合に,その財産を引き継ぐ者のことを,相続人,と呼びます。

一方,その亡くなった人のことを,被相続人と呼びます。

今回は,遺言がなかった場合に,誰がどれだけ相続するのか,説明したいと思います。


1  配偶者

まず,被相続人に,配偶者がいるかいないかが,最も大事です。

被相続人が結婚していて,配偶者が今もいれば(つまり死んだり離婚していなければ),

配偶者は必ず,相続人になります。

2 血縁者

配偶者の他に,相続人になるのが,血縁者です。

配偶者がいない場合は,すべての財産につき,血縁者が相続人となります。

血縁者の相続人は,

1  子ども

2  親

3 兄弟

という順番で,相続人になります。

つまり,子どもがいる場合は,親や兄弟は相続人にはなれません。

子どもがいない場合には,親が生きていれば親が,親を含めて直系尊属(要はご先祖さまの部類です)がみんな死んでいれば,兄弟が相続人になります。

配偶者と血縁者の相続割合ですが,

血縁者が子どもの場合は,配偶者対子どもが1:1です。

血縁者が親の場合は,配偶者対親が,2:1です。

血縁者が兄弟の場合は,配偶者対兄弟が,3:1です。

つまり,あなたがもし死亡したとき,

配偶者と,血縁者の存在によって,相続人や相続財産の割合が変化するわけです。

もちろん,法律のとおりに財産を残したいという方はそれでいいですが,そうでない方は,必ず遺言を書きましょう。

遺言の存在が,相続人間の争いを,未然に防ぐ最大の手段です。

あ,

あと,言いたいことですが,

遺言を作る際は,弁護士や税理士,公証人などのプロに必ず相談しましょう。

中途半端な遺言を残すと,全く紛争予防に役立ちません。

遺産争いが怒らないように,財産を残すようにましょう。



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