今回は,相続について考え出した,老夫婦のお話です。
人はいつか必ず死にます。
すなわち,相続が発生する可能性は100%です。
つまり,誰もが相続対策をしなければならない可能性があります。
CASE5 相続を考え出した池袋さんの場合
今現在70歳で,仕事は引退済み。同い年の奥さんと結婚していて,お子さんはいないという,池袋さん。
池袋さんには兄弟がいて,年に数回交流のあるお兄さんと,全く交流のない妹さんがいます。
池袋さんとしては,財産の大半は奥さんに残したいが,池袋さんが両親から受け継いだ実家(土地と建物)については,奥さんの死亡後,お兄さん家族に残したいとのこと。
ただ,交流の無い妹さんには,財産は残さないつもりとのこと。
現時点での財産は,預貯金が5000万円と,ご両親から引き継いだ家(土地と建物)程度。
まず,池袋さんが遺言を残さないで亡くなった場合,どうなるのかというと,
奥さんが財産の4分の3を相続,お兄さんと妹さんがそれぞれ8分の1を相続,ということになります。
そう,びっくりされる方が多いのですが,結婚していても,お子さん(お孫さんでも)がいない場合,財産の一部が,血族(親が存命であれば親,両親が他界していれば兄弟)に相続されるのが,民法上の決まりです。
なので,池袋さんのように,妹さんに残さないようにするには,遺言を書かなくてはなりません。
なお,兄弟には遺留分(遺言によっても侵害できない相続財産の一部をもらえる権利)はないので,妹さんに財産を全く残さない遺言を書いても,全く問題になりません。
池袋さんには,さっそく遺言を書くようにおすすめしました。
ただひとつ問題があって,相続では,財産を相続人の死亡後にさらに財産を譲り受ける人を指定すること(専門用語で「跡継ぎ遺贈」といいいます)はできません。
つまり,奥さんが死ぬまでは奥さんにあげ,奥さん死亡後は,お兄さんに実家を残す,ということは,遺言ではできません。
奥さんに実家を残した場合,奥さんの死亡後は,奥さんのご兄弟に財産がすべて行ってしまうのです。
これを防ぐためには,信託という制度を用いる必要があります。
信託を使うと,形式上信託会社へ所有権を移転させて,居住権を奥さんが存命中は奥さんにあげ,奥さんが死亡後,信託会社からお兄さんへ所有権を移転させることが可能です。
遺言や信託は,かなり専門的な計算・配慮が必要なので,必ず,FP,弁護士,税理士,信託会社へ相談して,遺言を書いて,信託を設定しましょう。
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