前回のRevew 「誌上FP相談 CASE5 相続を考え出した池袋さんの相談」
今回も引き続き,相続に関する相談です。
CASE5 相続を考え出した池袋さんの場合2
今現在70歳で,仕事は引退済み。同い年の奥さんと結婚していて,お子さんはいないという,池袋さん。
池袋さんには,年に数回交流のあるお兄さんと,全く交流のない妹さんがいます。
現時点での財産は,約1億円。
可能な範囲で節税したいとのこと。
相続税は,基礎控除を超えた分についてのみかかります。
基礎控除の金額は, 3000万円 + 600万円×法定相続人の数 です。
池袋さんの場合,法定相続人は3人(奥さん,お兄さん,妹)ですので,4800万円が基礎控除額となります。
つまり,遺産総額が1億円の場合,5200万円の部分についてのみ,相続税がかかることになります。
相続税の税率は,以下のとおりです(国税庁HPより引用)
法定相続分に応ずる取得金額 税率 控除額
1,000万円以下 10% -
3,000万円以下 15% 50万円
5,000万円以下 20% 200万円
1億円以下 30% 700万円
2億円以下 40% 1,700万円
3億円以下 45% 2,700万円
6億円以下 50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円
池袋さんの場合,5200万円に税金がかかるので,
5200万円×30% ー 700万円 = 860万円 だ!
と考える方が多いのですが,間違いです。
各相続人に法定相続分で割り付けて,それぞれの税額を計算して,それを合計します。
奥さんの相続分は4分の3ですので,
3900万円×20% - 200万円 = 580万円
ご兄弟の像続分はそれぞれ8分の1ですので,
650万円×10% = 65万円
合計710万円が,池袋さんの相続にかかる相続税の総額になります。
この710万円を,それぞれの相続人がもらった遺産の額に比例して,割り付けることになります。
たとえば,奥さんが4分の3,お兄さんが4分の1を相続したときは,奥さんが532.5万円,お兄さんが177.5万円,の相続税を支払います。
この場合,相続しなかった妹さんは,相続税を払う必要はありません。
少し話が長くなったので,節税については,次回ということで。
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2018年6月25日月曜日
2018年6月10日日曜日
誌上FP相談 CASE5 相続を考え出した池袋さんの相談
前回のReview 「誌上FP相談 CASE4 保険貧乏市ヶ谷さんの相談」
今回は,相続について考え出した,老夫婦のお話です。
人はいつか必ず死にます。
すなわち,相続が発生する可能性は100%です。
つまり,誰もが相続対策をしなければならない可能性があります。
CASE5 相続を考え出した池袋さんの場合
今現在70歳で,仕事は引退済み。同い年の奥さんと結婚していて,お子さんはいないという,池袋さん。
池袋さんには兄弟がいて,年に数回交流のあるお兄さんと,全く交流のない妹さんがいます。
池袋さんとしては,財産の大半は奥さんに残したいが,池袋さんが両親から受け継いだ実家(土地と建物)については,奥さんの死亡後,お兄さん家族に残したいとのこと。
ただ,交流の無い妹さんには,財産は残さないつもりとのこと。
現時点での財産は,預貯金が5000万円と,ご両親から引き継いだ家(土地と建物)程度。
まず,池袋さんが遺言を残さないで亡くなった場合,どうなるのかというと,
奥さんが財産の4分の3を相続,お兄さんと妹さんがそれぞれ8分の1を相続,ということになります。
そう,びっくりされる方が多いのですが,結婚していても,お子さん(お孫さんでも)がいない場合,財産の一部が,血族(親が存命であれば親,両親が他界していれば兄弟)に相続されるのが,民法上の決まりです。
なので,池袋さんのように,妹さんに残さないようにするには,遺言を書かなくてはなりません。
なお,兄弟には遺留分(遺言によっても侵害できない相続財産の一部をもらえる権利)はないので,妹さんに財産を全く残さない遺言を書いても,全く問題になりません。
池袋さんには,さっそく遺言を書くようにおすすめしました。
ただひとつ問題があって,相続では,財産を相続人の死亡後にさらに財産を譲り受ける人を指定すること(専門用語で「跡継ぎ遺贈」といいいます)はできません。
つまり,奥さんが死ぬまでは奥さんにあげ,奥さん死亡後は,お兄さんに実家を残す,ということは,遺言ではできません。
奥さんに実家を残した場合,奥さんの死亡後は,奥さんのご兄弟に財産がすべて行ってしまうのです。
これを防ぐためには,信託という制度を用いる必要があります。
信託を使うと,形式上信託会社へ所有権を移転させて,居住権を奥さんが存命中は奥さんにあげ,奥さんが死亡後,信託会社からお兄さんへ所有権を移転させることが可能です。
遺言や信託は,かなり専門的な計算・配慮が必要なので,必ず,FP,弁護士,税理士,信託会社へ相談して,遺言を書いて,信託を設定しましょう。
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今回は,相続について考え出した,老夫婦のお話です。
人はいつか必ず死にます。
すなわち,相続が発生する可能性は100%です。
つまり,誰もが相続対策をしなければならない可能性があります。
CASE5 相続を考え出した池袋さんの場合
今現在70歳で,仕事は引退済み。同い年の奥さんと結婚していて,お子さんはいないという,池袋さん。
池袋さんには兄弟がいて,年に数回交流のあるお兄さんと,全く交流のない妹さんがいます。
池袋さんとしては,財産の大半は奥さんに残したいが,池袋さんが両親から受け継いだ実家(土地と建物)については,奥さんの死亡後,お兄さん家族に残したいとのこと。
ただ,交流の無い妹さんには,財産は残さないつもりとのこと。
現時点での財産は,預貯金が5000万円と,ご両親から引き継いだ家(土地と建物)程度。
まず,池袋さんが遺言を残さないで亡くなった場合,どうなるのかというと,
奥さんが財産の4分の3を相続,お兄さんと妹さんがそれぞれ8分の1を相続,ということになります。
そう,びっくりされる方が多いのですが,結婚していても,お子さん(お孫さんでも)がいない場合,財産の一部が,血族(親が存命であれば親,両親が他界していれば兄弟)に相続されるのが,民法上の決まりです。
なので,池袋さんのように,妹さんに残さないようにするには,遺言を書かなくてはなりません。
なお,兄弟には遺留分(遺言によっても侵害できない相続財産の一部をもらえる権利)はないので,妹さんに財産を全く残さない遺言を書いても,全く問題になりません。
池袋さんには,さっそく遺言を書くようにおすすめしました。
ただひとつ問題があって,相続では,財産を相続人の死亡後にさらに財産を譲り受ける人を指定すること(専門用語で「跡継ぎ遺贈」といいいます)はできません。
つまり,奥さんが死ぬまでは奥さんにあげ,奥さん死亡後は,お兄さんに実家を残す,ということは,遺言ではできません。
奥さんに実家を残した場合,奥さんの死亡後は,奥さんのご兄弟に財産がすべて行ってしまうのです。
これを防ぐためには,信託という制度を用いる必要があります。
信託を使うと,形式上信託会社へ所有権を移転させて,居住権を奥さんが存命中は奥さんにあげ,奥さんが死亡後,信託会社からお兄さんへ所有権を移転させることが可能です。
遺言や信託は,かなり専門的な計算・配慮が必要なので,必ず,FP,弁護士,税理士,信託会社へ相談して,遺言を書いて,信託を設定しましょう。
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2018年6月3日日曜日
誌上FP相談 CASE4 保険貧乏市ヶ谷さんの相談
前回のReview 「誌上FP相談 CASE3 独身貴族青山さんの相談」
さて,今回の相談は,日本のサラリーマンには意外に多いと思われる保険貧乏さんについてです。
CASE4 保険貧乏市ヶ谷さんの場合
結婚していて,子どもも1人(1歳)いる市ヶ谷さん。
中堅メーカーに10年お勤めで,32歳。
奥さんは育児休暇から復帰したばかり。
毎月の手取りは,夫23万円,妻19万円。
手取りが42万円もあるのに,なかなか貯金ができず,夢のマイホームを買うための頭金や,かわいい子どもの教育費がたまらないのが悩みとのこと。
月々の支出を見せていただいたら,貯金ができない原因がわかりました。
貯金できない原因,それは保険の入りすぎです。
生命保険は,夫が月2万円の日系大手生保の定期保険特約付終身保険に加入。
妻は,外資系生保の保険に入っており,中身はよくわかってないけど,月2万円の保険料。
さらに夫は,かけすてのがん保険にも月2000円支払っています。
夫婦合計で,毎月4万2000円も保険料を払っている計算になります。
すなわち,手取り収入の1割もの大金を,保険に突っ込んでいる計算になります。
そりゃー,貯金できないですよ。。。
貯金の目安・目標は,手取りの少なくとも10%は超えたい,20%できたら理想的,という感じです。
しかし,市ヶ谷さんの場合,手取りの10%以上も保険に加入しているので,貯金に回す余裕が全くないのです。
確かに,夫婦共働きであるため,月42万円もの手取収入があるのに,なかなか貯金できないのです。
私は,以下のアドバイスをさせていただきました。
1 生命保険は,かけすてが一番
生命保険とは,残された家族の生活保障です。
「保険で貯蓄」なんてのは嘘っぱちです。
保険で貯蓄なんかしても,保険会社に手数料分さっぴかれるだけです。
かけすての安い保険に入って,浮いた保険料で,毎月積立貯金しましょう。
たとえば,ネット生保であれば,死亡時の保険金が2000万円の掛け捨て保険は,月々の保険料は約2000円です(30代前半の場合)。
つまり,市ヶ谷夫妻の場合,月4万5000円も払っていた保険料が,月4000円に,つまり10分の1になるのです。
余った4万円を,毎月貯金等に回しましょう。
2 がん保険は不要
「日本人の2人に1人はがんになる」
というセールスマンのキャッチコピーに騙されて,がん保険に入ってしまう方が続出しています。
しかし,がんにかかるのはたいていが高齢者です。
男性の場合,60歳までにがんにかかる確率は,約6%程度です。
つまり,若い人にはがん保険は不要なのです。
しかも,がんにかかったとしても,日本には健康保険制度があるため,月々かかる金額は決まっていますので,がん保険にはいっていないと困るということはほとんどありません。
月2000円,年2万4000円もがん保険に払うくらいなら,貯金しておきましょう。
結論
保険料は,月1万円以下(独身なら5000円以下)にしましょう。
浮いたお金で,貯金しましょう。
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さて,今回の相談は,日本のサラリーマンには意外に多いと思われる保険貧乏さんについてです。
CASE4 保険貧乏市ヶ谷さんの場合
結婚していて,子どもも1人(1歳)いる市ヶ谷さん。
中堅メーカーに10年お勤めで,32歳。
奥さんは育児休暇から復帰したばかり。
毎月の手取りは,夫23万円,妻19万円。
手取りが42万円もあるのに,なかなか貯金ができず,夢のマイホームを買うための頭金や,かわいい子どもの教育費がたまらないのが悩みとのこと。
月々の支出を見せていただいたら,貯金ができない原因がわかりました。
貯金できない原因,それは保険の入りすぎです。
生命保険は,夫が月2万円の日系大手生保の定期保険特約付終身保険に加入。
妻は,外資系生保の保険に入っており,中身はよくわかってないけど,月2万円の保険料。
さらに夫は,かけすてのがん保険にも月2000円支払っています。
夫婦合計で,毎月4万2000円も保険料を払っている計算になります。
すなわち,手取り収入の1割もの大金を,保険に突っ込んでいる計算になります。
そりゃー,貯金できないですよ。。。
貯金の目安・目標は,手取りの少なくとも10%は超えたい,20%できたら理想的,という感じです。
しかし,市ヶ谷さんの場合,手取りの10%以上も保険に加入しているので,貯金に回す余裕が全くないのです。
確かに,夫婦共働きであるため,月42万円もの手取収入があるのに,なかなか貯金できないのです。
私は,以下のアドバイスをさせていただきました。
1 生命保険は,かけすてが一番
生命保険とは,残された家族の生活保障です。
「保険で貯蓄」なんてのは嘘っぱちです。
保険で貯蓄なんかしても,保険会社に手数料分さっぴかれるだけです。
かけすての安い保険に入って,浮いた保険料で,毎月積立貯金しましょう。
たとえば,ネット生保であれば,死亡時の保険金が2000万円の掛け捨て保険は,月々の保険料は約2000円です(30代前半の場合)。
つまり,市ヶ谷夫妻の場合,月4万5000円も払っていた保険料が,月4000円に,つまり10分の1になるのです。
余った4万円を,毎月貯金等に回しましょう。
2 がん保険は不要
「日本人の2人に1人はがんになる」
というセールスマンのキャッチコピーに騙されて,がん保険に入ってしまう方が続出しています。
しかし,がんにかかるのはたいていが高齢者です。
男性の場合,60歳までにがんにかかる確率は,約6%程度です。
つまり,若い人にはがん保険は不要なのです。
しかも,がんにかかったとしても,日本には健康保険制度があるため,月々かかる金額は決まっていますので,がん保険にはいっていないと困るということはほとんどありません。
月2000円,年2万4000円もがん保険に払うくらいなら,貯金しておきましょう。
結論
保険料は,月1万円以下(独身なら5000円以下)にしましょう。
浮いたお金で,貯金しましょう。
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